仕組みが知りたい。作り方が知りたい。
丸木舟から干しぶどうまで自作する『ロビンソン・クルーソー』は愛読書。『ゼロからトースターを作ってみた』プロジェクトなど、自作は時にspeculative designです。
それはともかく、バレンタインデーにカカオ豆をもらったので、チョコレートを作ってみます。カカオ豆をかじると、チョコ味の木の実だ!という新鮮な驚きがあります。目の覚める味。洗練された製法による、森永ミルクチョコレートや、バンホーテンのココアもおいしいけど、加工された味です。原始チョコレートを味わってみましょう。
こちらがカカオ豆です。発酵・乾燥後にローストしたものです。カカオポッドに盛ってみました。カカオ豆はあまり売っていません。たぶん、そのままではニガいから人気がないのだと思います。
今回つくるチョコレートは、以前チョコレート工場で見たメキシコ風チョコレートの再現を目指しています。そのチョコレート工場は、ロアルド・ダール『チョコレート工場の秘密』に比べたら夢のない場所でしたが、カカオ豆を石臼でひいて作ったディスク型のチョコレートは、がしがし・ざらざらした感触の、食べたことのない味でした。
早速はじめましょう。カカオ豆(ロースト)は代々木公園近くの「CACAO STORE」で買ってきました。そのままのカカオ豆には渋皮がついています。工場ではローストと選別の後、砕いてから風で吹き分けるのですが、指で簡単にむけます。つやのあるチョコレート色の肌が見えます。
すり鉢とすりこぎで砕きます。本当は胚芽を取り除くのですが、気にしません。カカオニブ(cacao nibs)になります。これを混ぜたクッキーはすごくおいしいです。
ここからがちょっと力仕事です。ゴマをすったことがない人にはおすすめできません。すり鉢でねりゴマをつくる作業と一緒です。30分くらいでペースト状になります。
こんなかんじ。私はここでがまんできず、半分をココアにして飲んでしまいました。ココアを飲みながら、残り半分を練ります。いわゆるカカオマス(cacao mass)ができます。
これに、砂糖を加えてさらに混ぜます。カカオバターを足すことはしません。したがって、テンパリングもしません。粘土状になって、手でまとめることができます。団子にすると、茶色くて少しやわらかくて…なんか…汚い…塊になります。いやなかんじなので写真は省略します。
板状にのして適当な形に切ってできあがりです。
完成!試食!思ったよりもざらざらしていなくて、おいしいチョコレートです。味は、リンツの99%カカオチョコレートに近いかな。カカオ豆の香りがそのまま残っている!
大変そうに見えて、1時間あればできるのでぜひお試しください。